2019年4月3日、平成の名牝・ウオッカが蹄葉炎発症により安楽死の処置を取られていたことが発表されました。
2007年の日本ダービーで牝馬としては64年ぶりとなる制覇を遂げるなど快挙を遂げた名馬の死に、競馬ファンからは悲しみの声が上がっています。
ウオッカが発症してしまった蹄葉炎について。
・蹄葉炎とはどんなものなのか
・蹄葉炎の原因や症状、治療法は?
・競走馬の復帰は難しいのか?
など調べてみました。
蹄葉炎とは?
蹄葉炎とは、「ていようえん」と読み、有蹄類(牛や馬など)の蹄部で発生する疾病のひとつ。
蹄の内部にある「葉状層(ようじょうそう)」に炎症が起こることを指します。
一般的には牛や馬などで発症が報告されていますが、原因や要因は様々とされています。
ちなみに蹄葉炎という名はあくまで臨床的に命名されたもので、必ずしも病理学的な組織病態を正確に反映した名称ではないとのこと。
蹄葉炎の原因や症状
蹄葉炎の原因は様々と前述しましたが、競走馬の世界における蹄葉炎は原因がある程度はっきりしています。
馬の蹄の内部は血管が循環しているのですが、馬は自身の体重が重いこと、心臓から遠い体の末端に位置することなどから、蹄まで血液が充分に行きとどきません。
これを補っているのが蹄機作用(歩行の際に蹄が伸縮し、血液循環ポンプとして作用するもの)ですが、何らかの理由でこの作用が正常に働かず、蹄の血液循環が阻害されてしまうことで炎症を起こすもの。
原因の多くは肢の怪我や故障などにより、怪我した肢を庇うことで他の肢に負担が増加しすることで、一部の肢に血液が行き渡らず発症します。
症状としては炎症により激しい疼痛が起こります。
蹄葉炎の治療法について
蹄葉炎の治療法についてで。
症状が軽度の場合は、脚の負担を軽くする特殊な蹄鉄を装着し、穀類の不摂取や適度な運動などにより回復を目指し、重症の場合は投薬治療や、最終的に蹄壁の除去や深屈腱の切断など外科治療を行います。
しかし骨折が原因の場合は予後不良(安楽死)の選択がとられることも少なくありません。
蹄葉炎が早期に発見され、蹄骨の変形など見られる前でしたら、上記の処置により回復することもありますが、発見が遅れた重症化していた場合は、症状の進行を阻止するのは困難といわれています。
また、たとえ症状が改善されたとしても治療期間は長期にわたり、蹄が正常な形に戻ることは少ない上、慢性的な跛行が残る場合もあるとのこと。
そのため重度の蹄葉炎の場合、安楽死の処置が取られることも多いようです。
蹄葉炎を発症したら競走馬の復帰は難しい?
ひとたび蹄葉炎を発症したら復帰は難しいのでしょうか?
前述の通り、重症化した場合は安楽死の処置をとられることも少なくありません。
特に馬は体重が重いため、病勢の進行を止めることは難しいともされています。
しかし、以前は馬にとっては致命的な病気の一つとされていましたが、近年では対処法が確立されてきており、重症化せずに回復し、競走馬として復帰する例も多くなっています。
有名なところだと2015年から2018年までに活躍したグレーターロンドンという競走馬は、デビュー年の2015に蹄葉炎を発症。
しかし1年間の休養の後に見事復帰。
蹄の慢性的な不安は引退まで続いたものの、途中5連勝を上げ「マイル界のニューヒーロー」「第二のモーリス」として競馬ファンの期待を集めるまでに回復しています。
競走馬にとっては非常に危険な疾病であることに変わりはありませんが、昔と比べると回復率も上がっており、必ずしも安楽死という結論にはならないようですね。
まとめ
以上、蹄葉炎とはどんなものなのか、蹄葉炎の原因や症状、治療法は?、競走馬の復帰は難しいのか?について調べてみました。
競走馬にとっては文字通り死活問題となる蹄葉炎。
残念ながらウォッカは安楽死となってしまいましたが、医学に進歩も発展してる現代です。
近い将来完治可能な疾病になるといいですね。
ウォッカの冥福をお祈りします。
コメントを残す