井上尚弥の強さの秘訣を分かりやすく解説!無敗を貫く【7つの理由】

井上尚弥、通称「モンスター」。

彼の強さは日本ボクシング界の最高傑作とも言われるほどですが、その秘訣は一体何なのでしょうか?

この記事では、井上尚弥が無敗を貫く理由を7つに分けて、わかりやすく解説していきます。

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井上尚弥の戦績

まずは井上尚弥選手の強さを表す圧倒的な戦績について

アマチュア時代の戦績

井上尚弥選手のアマチュア時代の最終戦績は
81戦 75勝 (48KO/RSC) 6敗

・小学6年生
試合初出場。全国大会で中学2年生の相手にRSC(TKO)勝ち。

・高校1年生時
インターハイ・国体・選抜の三冠を達成。アジアユース選手権で銅メダルを獲得。

・高校2年生時
世界ユース選手権でベスト16入り。
国体を連覇
全日本アマチュア選手権で初出場で準優勝

・高校3年生時
インドネシア大統領杯で初の国際大会金メダル獲得
世界選手権の出場しベスト16入り。
インターハイ、全日本選手権で優勝し、技能賞も受賞
高校生初のアマチュア7冠を達成

・高校卒業後
2012年にアジア選手権に出場し、ライトフライ級で銀メダル獲得

・最終戦績
81戦 75勝 (48KO/RSC) 6敗

プロデビュー後の戦績

・最終戦績
27戦 27勝 (24KO) 無敗

・プロデビュー戦(2012年10月2日)
対戦相手:クリソン・オマヤオ(OPBF東洋太平洋ミニマム級7位)
結果:4R(2:04)でKO勝利。

・2戦目(2013年1月5日)
対戦相手:ガオプラチャン・チュワタナ戦(タイ王国ライトフライ級王者)
結果:1R(1:50)でKO勝利。

・3戦目(2013年4月16日)
対戦相手:佐野友樹(⽇本ライトフライ級1位)
結果:10R(1:09) TKO勝利。

・4戦目(2013年8月25日)
対戦相手:田口良一(日本ライトフライ級王者)
結果:10R 判定3-0勝利。

・5戦目(2013年12月6日)
対戦相手:ヘルソン・マンシオ(OPBF東洋太平洋ライトフライ級2位)
結果:5R(2:51) TKO勝利。

・6戦目(2014年4月6日)
対戦相手:アドリアン・エルナンデス(WBC世界ライトフライ級王者)
結果:6R(2:54) TKO勝利。

・7戦目(2014年9月5日)
対戦相手:サマートレック・ゴーキャットジム(WBC世界ライトフライ級13位)
結果:11R(1:08) TKO勝利。

・8戦目(2014年12月30日)
対戦相手:オマール・ナルバエス(WBO世界スーパーフライ級王者)
結果:2R(3:01) KO勝利。

9戦目(2015年12月29日)
対戦相手:ワーリト・パレナス(WBO世界スーパーフライ級1位)
結果:2R(1:20) KO勝利。

10戦目(2016年5月8日)
対戦相手:デビッド・カルモナ(WBO世界スーパーフライ級1位)
結果:12R 判定3-0勝利。

11戦目(2016年9月4日)
対戦相手:ペッバーンボーン・ゴーキャットジム(WBO世界スーパーフライ級1位)
結果:10R(3:03) KO勝利。

12戦目 (2016年12月30日)
対戦相手:河野公平(WBO世界スーパーフライ級10位)
結果:6R(1:01) TKO勝利

13戦目 (2017年5月21日)
対戦相手:リカルド・ロドリゲス(WBO世界スーパーフライ級2位)
結果:3R(1:08) KO勝利。

14戦目(2017年9月9日)
対戦相手:アントニオ・ニエベス(WBO世界スーパーフライ級7位)
結果:6R 終了 TKO勝利。

15戦目(2017年12月30日)
対戦相手:ヨアン・ボワイヨ(WBO世界スーパーフライ級6位)
結果:3R(1:40) TKO勝利。

16戦目(2018年5月25日)
対戦相手:ジェイミー・マクドネル(WBA世界バンタム級王者)
結果:1R(1:52) TKO勝利。

17戦目 2018年10月7日)
対戦相手:ファン・カルロス・パヤノ(元WBA世界バンタム級スーパー王者)
結果:1R(1:10) KO勝利。

18戦目(2019年5月18日)
対戦相手:エマニュエル・ロドリゲス(WBO世界スーパーフライ級2位・WBOラテンアメリカ王者)
結果:2R(1:19) KO勝利。

19戦目(2019年11月7日)
対戦相手:ノニト・ドネア(IBF・WBO世界スーパーバンタム級統一王者)
結果:12R 判定勝利。

20戦目(2020年10月31日)
対戦相手:ジェイソン・モロニー(WBO世界バンタム級1位、WBA同級3位)
結果:7R 2:59 KO勝利。

21戦目(2021年6月19日)
対戦相手:マイケル・ダスマリナス(元IBO世界バンタム級王者)
結果:3R 2:45 TKO勝利。

22戦目(2021年12月14日)
対戦相手:アラン・ディパエン(IBF5位、WBA8位)
結果:8R 2:34 TKO勝利。

23戦目(2022年6月7日)
対戦相手:ノニト・ドネア(WBC世界バンタム級王者)
結果:2R 1:24 TKO勝利。

24戦目(2022年12月13日)
対戦相手:ポール・バトラー(WBO世界バンタム級王者)
結果:11R 1:09 KO勝利。

25戦目(2023年7月25日)
対戦相手:スティーブン・フルトン(WBC・WBO世界スーパーバンタム級統一王者)
結果:8R 1:14 TKO勝利。

26戦目(2023年12月26日)
対戦相手:マーロン・タパレス(WBAスーパー・IBF世界スーパーバンタム級統一王者)
結果:10R 1:02 KO勝利。

27戦目(2024年5月6日)
対戦相手:ルイス・ネリ(WBC世界スーパーバンタム級1位)
結果:6R 1:22 TKO勝利。

 

上記の通り、アマチュア時代から圧倒的な強さを誇り、プロデビュー後は27戦無敗で24KO、KO率93%という驚異的な記録を叩き出しています。

その強さは世界中から認められ、米老舗ボクシング専門誌『ザ・リング』が発表するパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングで日本人初の1位を獲得するほどです。

※パウンド・フォー・パウンド(PFP)とは、全階級で体重差をのハンデを考慮しない場合、誰が最強であるかを指す称号のこと。

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井上尚弥の強さの秘訣。無敗を貫く【7つの理由】

強さの秘訣①基本技術の高さ

井上尚弥選手の強さを支える秘訣としてまず挙げられるのが「基本技術力の高さ」です。

パンチの多様性と正確性、フットワークとポジショニング、コンビネーション、カウンター、ディフェンスなどボクシングにおける基本的な技術すべてが高水準でまとまっているといわれています。

ボクシング漫画の金字塔である「はじめの一歩」の作者で、自身もボクシングジムを経営するなどしている漫画家の森川ジョージ氏も、井上尚弥選手の特徴を以下のよう語っていました。

 

「教科書通り」でありながら、「基本性能が桁違いに高い」と分析。

また元世界チャンピオンの渡嘉敷勝男さん、竹原慎二さん、畑山隆則さんのYoutubeチャンネルでは畑山さんは「井上ちゃんは意外と基本に忠実なことしかやっていない」と。

(1:50秒くらいから語っています)

このようにボクシング有識者から見ても、井上尚弥選手は決して特別な必殺パンチを持っていたり、他の選手がやらないような突飛なことをやっているわけではなく、あくまで基本に忠実であることがわかります。

さらに、父でありトレーナーの真吾さんは以前スポーツ紙の取材に以下のように語っています。

ナオのことを天才って言われたりするけど、
内心、冗談じゃねえよって。
できないこともできるようにするため、
血と涙がにじむような練習を小1から続けてきた。
そんなに簡単に片付けられたくない。努力は天才に勝るんです。

2019年11月8日 スポーツ報知より

真吾さん曰く「血と涙がにじむような練習を小1から続けてきた。」とのこと。

こうした継続した努力井上尚弥選手の基本技術の高さを作ったのでしょう。

強さの秘訣②圧倒的なパンチ力

井上尚弥選手の強さを語るうえで欠かせないのは、その圧倒的なパンチ力です。

筋力はもちろん、体重移動の巧みさや、バランスを崩すことなく全身の力を効率よく拳に伝える能力、パンチのスナップやハンドスピード、相手の隙を見逃さず、最適なタイミングで精確に打ち抜く技術など、そのパンチ力の秘訣は多岐にわたります。

井上尚弥選手戦績は27戦中24KOで、KO率はなんと93%。

この記録だけでも強力なパンチを持っているかがわかりますね。

さらに2014年に井上尚弥選手のと対戦したオマール・ナルバエス選手は、井上尚弥選手の「異質なパンチ力」について語っていました。

「硬いもので殴られた感覚」

「1発目のジャブをもらったとき、他のボクサーと違うなと感じた。『グローブをはめていないのでは』という硬さというのか、何か硬いモノで殴られたような感覚というのか。過去に闘った誰とも異なるパンチの質だったんだ」

「かするパンチでも1発1発、凄まじい威力を感じたんだ」

2023/12/26 PRESIDENT ONLINE

オマール・ナルバエス選手はこの時プロアマ通じて21年、約150戦を経験しながら、一度もダウンした経験がないというタフネスの持ち主。

にもかかわらず、2Rで計4回もダウンを奪われKO負けを喫しました。

あまりのパンチ力に、「グローブの中に何か仕込んでいるのではないか?」という疑惑すら持たれ、試合後にはグローブとバンデージのチェックを要求されますが、当然不正は一切なし

純粋に井上尚弥選手のパンチ力がただただ強いという証明となりました。

2023年に行われたスティーブン・フルトン戦でも、試合前にバンテージの巻き方に不正を疑われたり、たびたびドーピング疑惑が出るなど、その強すぎるパンチ力はたびたび注目されています。

強さの秘訣③戦術の多様性

試合中に多様な戦術を駆使する点も、井之上尚弥選手の強さの秘訣。

2020年に行われたのジェーソン・モロニー戦では、序盤は積極的に攻めるパワーボクシングを行い、中盤以降はモロニー選手の出方を見ながらカウンターを合わせてタイミングをは図るなど、常に戦略を考えながら試合を進めていました。

そのほかの試合でも、サウスポー(左利き)のスタイルにスイッチしたり、伝説のボクサー、ナジーム・ハメドのような変則的な動きを行ったりと多種多様な戦術を駆使しています。

相手の動きや試合の展開に応じて臨機応変に戦い方を変えられる引き出しの多さを兼ね備えています。

強さの秘訣④高いフィジカル能力

井上尚弥選手のフィジカルの強さは他の選手を圧倒します。

現在井上尚弥選手のフィジカルトレーナーを務めるのは八重樫東氏と鈴木康弘氏

特に八重樫東氏は自身も過去にミニマム級、フライ級、ライトフライ級の世界3階級を制した名チャンピオンです。

現役時代は自らの体を「実験台」とし、何人もの著名なフィジカルトレーナーの下で体を徹底的に鍛え抜き、そのトレーニングノウハウを身に着けた実績の持ち主。

そんな八重樫トレーナーが作成するフィジカルトレーニング、通称”八重トレ”を週2回こなし続けた結果、井上尚弥選手は強靭なフィジカルを手に入れました。

井上尚弥選手自身も取材はX(旧Twitter)で以下のように語っています。

「八重トレの成果が目に見えて表れたのはノニト・ドネアとの第2戦(22年6月)です。

計量のときに自分の体を見て、明らかに筋肉がついたと分かりました。全体的にボコッ、ボコッという感じです。八重樫さんに見てもらうようになって試合ギリギリまでフィジカルをやるようになった。だいぶ変わったと思います」

Number Web

 

このPostを見る限り、確かにものすごい背筋ですね。。!

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強さの秘訣⑤強靭なメンタル

井上尚弥は試合中のプレッシャーや困難な状況にも冷静に対応する強靭なメンタルを持っています。

父でありトレーナーの真吾さんは「ボクサーの強い弱いは突き詰めればハートの問題」とも語っており、井上家のリビングには、これまでに獲得したチャンピオンベルトやトロフィー、メダルは一切飾っていないとのこと。

その代わりいつでも筋トレができるようにダンベルなどが置いてあるのだとか。

さらに「一ポイント差は紙一重。わずかな差が天国と地獄」、「言われた課題をスパーで修正できなければやめさせる」と書かれた張り紙が張られており、自宅にいる時ですら常にプロボクサーである意識を忘れずに過ごしているようです。

真吾さん曰く、「頑張りは今日も明日も明後日も続くものです。ベルトやトロフィーを眺めて悦に入る暇はないのです。」

こうした日々の意識の積み重ねにより、井上尚弥選手は試合中のプレッシャーや困難な状況にも冷静に対応することができるのでしょう。

強さの秘訣⑥綿密な準備と研究

井上尚弥選手は対戦相手の研究を徹底的に行い、戦術を練り上げます。

対戦相手と身長やリーチ、ファイトスタイルなどが似た練習パートナーを用意し、試合までに徹底的に対策を練るのはもちろん、チーム全体で最新の映像技術やデータ分析を駆使して相手の弱点を見つけ出し、それに対する戦術を準備を進めるそうです。

さらに井上尚弥選手は対戦相手のことをあえて過大評価するとのこと。

「自分はいつも対戦相手の映像を見て確認しても『めちゃくちゃ強い姿』をイメージするんです。あえて相手を過大評価する。だから、今は自分のパンチはマクドネルに全然当たらないと思っています。そういう心構えでリング上がると『結構、当たるな』と思えるので」

Sports Navi

毎回、試合相手が決まると最悪の状況を想定して準備するそうです。

そのため「あらゆる状況を想定して練習するので、何があっても動揺しない」と語っています。

ここまで事前準備を徹底するところも、井上尚弥選手の強さの秘密の一つでしょう。

強さの秘訣⑦リカバリーテクニック

2024年に行われたルイス・ネリ戦で井上尚弥選手は試合中のリカバリーテクニックの高さを披露しました。

34年ぶりに東京ドームで行われた歴史的な一戦。

井上尚弥選手は1ラウンドにまさかのキャリア初のダウンを喫します。

しかし驚くべきはそのあとのリカバリー。

井上尚弥選手はダウン後すぐに立ち上がることはせず、しっかりと8カウントまで休んでから立ち上がりました。

元世界3階級制覇王者である長谷川穂積氏は以下のように語っています。

「たぶん、人生初ダウンだと思うんですよ。初ダウンなのに8カウントまで片膝ついて座っていた。イメージトレーニングしてるんですよ。普通はすぐ立ち上がる。初ダウンであれができるのは、彼はこういうピンチも来るかもしれないと。僕らが想像しているだけで、彼は彼なりにいろんなものと戦っているんだと思います」

THE ANSWER

ダウンを取られてしまった場合、多くのボクサーは動揺してすぐに立ちあがってしまうのだとか。

ダウンは印象も悪いですし、下手したら試合を止められてしまうリスクもありますからね。

しかしすぐに立ちあがってしまうとダメージが抜けず、そのあとの試合に影響が出てしまいます。

ボクシングは10カウントで試合終了なので、ギリギリの8カウントまで休んで体力回復とダメージを抜いてから立ち上がるのが理想とされています。

井上尚弥選手はのちに当時のダウンについて以下のように語っています。

ダウンした瞬間に思ったのは、ポイントを計算して勝ちにつなげること。この時点で8-10のビハインドです。だからまずは2、3ラウンドを確実に取ってイーブンにしようと。1ラウンドが終わったインターバルで、ちゃんと上にあるモニターでダウンシーンを見返して、どの角度からパンチをもらったかを確認する余裕がありました。だから2ラウンドからはしっかり戦えた。修正する余裕があったんだと思います」

「みなさん『カウント8までしっかり待ってから立った。冷静だ』とか言うんですけども……。いやいや、自分は4回戦とか6回戦の選手じゃないんですよと言いたいです(笑)。確かにダウンは初めてかもしれないけど、そういう対応はダウンしたときの基本ですからね」

Number Web

めちゃくちゃ冷静ですね。。

ダウンや想定外のことが起きても、常に最良のリカバリーができる点は、井上尚弥選手の大きな強みでしょう。

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まとめ

井上尚弥選手の強さはの秘訣を分かりやすく、7つに分けて解説してきました。

数多くの要素が相まって、彼は世界トップクラスのボクサーとしての地位を築いているのですね。

2024年9月にはWBO同級2位TJ・ドヘニー(アイルランド)との試合が有力視されている井上尚弥選手。

今後の活躍にも期待が高まります。

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